The Green Hills of Earth
衆院の解散が宣言された昨日、テレビでは各政党の今後の抱負、選挙に向けてのさまざまなインタビューが放送されていました。
概ねの話としては、「自民党は民主党に政権を明け渡すだろう」というもので、今まで自民党と公明党が主導してきていたけれど、今度は民主党が第一政党となる。そして、社民党などが連立する形になるのでは?というものでした。
いや、正確に言うと、そういう話をしているのは社民党などの党首であって、それが世論だという訳ではありません。
社民党は「第一政党は民主党、その鳩山総理の下で連立が必須としたら、我が党の意見をどれくらい取り入れてもらえるか」という話をしていたのですが、共産党にいたっては「民主党が第一政党となるだろう。しかし、正しいのは共産党だ。一人でも共産党の議席が増えれば、それが証明される」などと訳のわからないことを言っていました。
解散宣言の前の、自民党のわけのわからない両院議員懇談会を見ると、ここまで来ても悪い部分は握りつぶして、悪いことは何も無かったかのように演じる、正に国民不在の政治の縮図をそこに見た気がしました。
民主党が第一政党となると仮定して、果たしてその他の政党はどうなるのでしょう。 共産党などは「自民党が議席を減らし、共産党が躍進する」などと言っています。まぁ、それはありえないとしても、要は自民党への投票数が減って現野党にばら撒かれると期待しているようです。しかし、それはどうでしょう。自民党がいくら人気を落としているといっても、それは「浮動票を獲得しづらくなっている」という事であって、今まで築いた土台はそれほど乖離していないのではないでしょうか。その浮動票がどこに行くかといえば、大半は民主党であって、その他名も無いに等しい、なんの目立った功績も残していない、注目されていない政党に票が行くことはないといえるのではないでしょう。逆に今度の選挙は自民党対民主党という構図であって、共産党や社民党からも票を奪われる可能性は高いのではないかと思うのです。もし、民主党一党で過半数を超えた時、民主党や共産党などは果たしてどんな態度を示すのでしょう。ちょっと(かなり)興味のあるところです。
参院は自民党が牛耳っているという構図もありますので、衆院で民主が第一政党になったからといって、すぐに何か劇的な変化があるとは思えませんし、民主が「どうせ野党だから」と思ったのか、ほとんど実現不可能に近い公約(中学生までの子供に教育のための費用を支払うとか、高校の授業料をただにするとか、高速道路を無料にするとか…)を如何に実現するのか興味は尽きませんが、ここに他政党と連立しなければ過半数が取れないということになれば、更に多くの公約が実現することなく、そして「なんだ、民主党って口ばかりでなんにもできない政党だったな」とすぐに飽きられてしまうのではないかと思います。そういう意味で面白いのは、民主党が大勝して、単独政党で過半数を取ってしまうことかなと思うのです。そうすれば、言い訳はできませんからね。今まで如何に「野党」という立場に甘んじて、昔の社会党みたいに、「仕事は自民党の言うことに反対することです」的な仕事をしてきたかが明らかになるのではないでしょうか。
私は民主党に期待していますよ。小泉政権を批判する人、石原東京都知事や橋下大阪府知事、東国原宮崎県知事を批判する人は多々います。内容ももっともらしいです。でも、私は彼らとは意見を異にします。悪いところもある。それが国民にとって致命的な政策であるかもしれない。でも、政治に目を向けさせ、己の信念に基づいた政策を展開しているという点では評価ができると思うのです。
民主党が第一政党となった時、多分、やるといったことの半分も実現はできないだろうなと思います。役所を正しい役所にするといきまいても、役所のトップを挿(す)げ替えなければ無理があるでしょう。役所のトップは首相がすべて、自分が任せられると思う人に挿げ替える事ができるという制度が無ければ、役所はいつまでも腐ったままでしょう。そして、そんな制度を作ることができるとは思えませんし、アメリカなどの対外政策も、民主党が第一政党になったからといって、簡単に帰ることができるものでもないでしょう。役所が変えられなければ、予算の編成も思うように行かないでしょうから、あれもこれも無料にするという約束は反故にせざるを得ません。そんな中でも、「民主党は嘘をついた」ではなく、果たして、自民党から何を変えようとしているのか、そして何がそれを邪魔したのか、そういうところを良く見ていく必要があると思います。
どんな行動をしたか…以前の社会党のように、何の準備もできていなくて、結局あたふたとミスを連発して信頼を失うのか、それとも失敗しつつもきちんと民主党を主張できるのか…後者であってほしいと思いますが、鳩山さんはどちらかというと麻生さんタイプのような気がしてならないのですが、如何なものでしょうねぇ…
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