The Green Hills of Earth
ブルートレインのはやぶさ・富士が最後を迎えたそうで、各地の駅には人が鈴なりだったそうです。
テレビのインタビューに答えて「惜しい」とか「残念」という人のどれ位が「若かった頃(何十年も前)に利用したことがある」ではなく「今も利用していたのに」だったのでしょう。
その昔国鉄がJRに変わる頃、不採算路線は次々と廃線となりました。これ自体は、お役所体制の国鉄が黒字にするための努力を全く行わず、自分たちの怠けた分をせっせと税金で補填していた結果、国民にそっぽを向かれた結果でもある訳ですが、その原因はともかく、列車の乗車率も極端に悪かったから、維持するためには値上げせざるを得ず、運賃が高いから列車離れが進むという見事な悪循環ができあがった訳ですね。
今回のブルートレインの最後も同じで、結局は乗る人がいないから廃止せざるを得ないのです。夜の鉄道は、貨物くらいしか走らないのですから、夜行列車はやり方次第では十分活躍できるはずなんです。
例えば私がよく利用する夜行バスは、23時過ぎに新宿駅を出て、朝6時から7時の間に京都駅に着きます。どちらもJRの駅近くの発着です。目的地がどこであっても一緒で、発着地は基本的にJRの駅近くでしょう。つまり、JRの夜行列車が深夜高速バスの客を奪うチャンスはいくらでもあるはずなのに、結果は逆にJRが夜行列車の客を奪われてしまったのですね。
大量輸送、定時制という面では鉄道に分があると思いますが、輸送効率というか、その車両を走らせる経費を運べる人数で割った経費は果たしてどちらが高いのでしょう。また、最近の大きくリクライニングするバスの椅子に対して、夜行列車はどれだけ対応できるのでしょうね。って、夜行列車ならベッドを装備しているのでしょうから、それでも勝てる気がします。 結局、夜行列車は採算面でバスに太刀打ちできなかったと言う事になるのでしょうか。
もし、私が京都へ行く時、高速バスと同じ料金で、高速バスと同じ時間帯に発着する寝台列車があったとしたら、どちらを利用したでしょう。少なくとも鉄道車両が寝台ではない夜行列車だったらバスを選ぶでしょうか。特急車両のように椅子がリクライニングしたとしても、寝心地はバスの方が上でしょうからね。でも、鉄道車両が寝台列車だったとしたら、積極的に鉄道を利用しようとは思わないとしても、高速バスに固執する必要は感じないでしょうね。
地球環境を考えるなら、高速バスを10台走らせるより、一編成の寝台列車を走らせた方が良いのかもしれません。でも、国鉄ではなく民営のJRはそんな事情はお構いなしに、「採算がとりにくい夜行寝台列車を走らせるより、その客は高速バスに任せて、不採算部門を切り離す方が得」としたんでしょうね。同系列にJR高速バスもありますものね。
そういうJRの思惑があったかどうか分かりませんけれど、兎に角、その場で別れを惜しんだ鉄道ファンの多くは、結局は「自分は利用しないけど、無くなるのは寂しい」と言う人たちなんですね。そういう人たちを見ていると、「あんた達がファンだと言うのなら、もっと利用すれば良かったじゃん。そうじゃなければいちいちテレビの前にしゃしゃり出てもっともらしく喋るなよ」と思っちゃうんですよね。「思い出も一杯あるのに。寂しい限りです」なんて言うなら乗れってなもんです。でも、そう思いつつ、そういう人たちが正しいファンのあり方だなぁと言うのも感じた次第。
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