The Green Hills of Earth
昔々、あるところに、「今度ダッチオーブンを買おうと思う」と浮かれている人がいました。
ダッチオーブンと言うのは、薪を有効利用するための鍋です。 鍋は鉄製で超重量級ですが頑丈ですし、蓋の上に炭や薪を乗せることが前提で、熱の通りがよかったり、鍋の上にまた鍋をかけることができるというものです。
キャンプなどで焚き火料理をしたり、家の暖炉やかまどで料理をするにはうってつけの鍋ですが、焚き火や薪で料理をしないなら、重くて錆びやすく使いにくい鍋でしかないのです。
一時キャンプがブームとなった時、この鍋は物珍しさから注目が集まり、そこそこ話題になりましたが、それを見越してか、それとも在庫が余剰となったためか、業界で「家庭で使うダッチオーブン」なるものをでっち上げ、それらしい本を似非(自称)料理研究家に書かせて在庫処分を狙ったと私は思っています。
この鍋を愛用している人がいないとは言いませんが、少なくともこの鍋を都市ガスのコンロで「愛用」している人は、失礼ですが、私には「とても変わった人(a most Peculiar man by paul simon)」と思います。または、(本当に失礼ながら)「業界の都合にのせられやすい人」でしょうか。
なぜなら、この鍋は前述のようにコンロで使う鍋ではありませんし、家庭用なら同じ思想の鍋としてル・クルーゼなどがあるのです。ブランドものは嫌いという人、ホウロウは嫌いという人もいらっしゃるでしょうから、ル・クルーゼをどなたにもとは言えませんが、重さを利用して料理を美味しくするという意味では同じものであり、よほど使いやすいものだと思えます。
さて、先の人にもこのようなこと(ダッチオーブンは使いにくい。買うなら、ル・クルーゼがいいよ)をお伝えしたのですが、まぁそんなに親しい訳でもないのに忠告したのが余計なお節介だったのでしょう、その方はかなりご立腹の様子で「私がいいと言っているんだから、私の勝手でしょう。あんたは勝手にル・クルーゼを使いなよ。私はダッチオーブンを使うから」と息巻いていらっしゃいました。まさにその通り。個人の自由ですね。ただ、意見を聞かせてと言われたので言ったのにその反応はないだろうとは思いましたけれどね。
まぁ、そんなことから疎遠になって久しかったのですが、先日あるきっかけでその方が「ル・クルーゼの事なら私に聞いて」といっているのを聞いて唖然とした次第。 へ?あのときの癇癪はなんだったの? あなたのダッチオーブンへの思い入れはなんだったの…
ま、良いんですけれどね。 人は失敗して成長するものですしね。私も忠告する価値のある人とない人がいることを学ばせていただきましたし。
ただ、あのやり取りがあったあと、手のひらを返して私はル・クルーゼのファンなのよと、どの面さげて言っているのかなと興味はあるんですが、もう二度と会う気もしないですしね…って、ここで愚痴をたれながしても仕方ないのですが、どうしてもその調子のいい口調が耳について腹立たしくて…すみません、なんの関係もない人に毒をたれながしてしまいました。
最近は別のことでも「自分達は素人だから、専門家の意見を聞こう」と言っているのに、「これは絶対に不可能だからあり得ない」と頑固に主張する人がいて手を焼きました。結局それは専門家の手にかかれば、なんの問題もなく実現可能で…私自身が仕事では常に「不可能かどうかは、専門家であるこちらが判断する」と言い続けているだけに、その言葉には自信があるというか、素人判断は怖いことを知っているのですが、どこから来るか分からない自信をもった素人は本当に扱いにくいものです。
どうか、皆様におかれましては、これを読んで、反面教師としていただければ幸いです。
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