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2006年03月07日(火) 名義貸しの末路

ビジネスホテルチェーン「東横イン」の不正改造事件で、不正改造の設計を請け負った建設会社の1級建築士が免許取消処分となりました。更に、強度偽装事件で設計の元請けに関与した1級建築士も1人が免許取り消し、5人が最長12ヶ月の業務停止処分を受けることになりました。

強度偽装事件が元で、全国各地のマンション住民が「自分の住処は大丈夫か?」と確認を求めているようですし、施工会社・管理会社も率先して「安全です」と宣伝している向きもあります。そんな中で「もしかして自分にも飛び火が?」と戦々恐々としている建築士はかなり多いのではないかと想像しています。私の知っている1級建築士の人たちの中でも「名義貸しは、ちょうど良い小遣い稼ぎ」と公言していた人も何人か居ました。1級建築士というのはかなりハードルの高い資格で、1級建築士の需要に対して実際の免許所有者の数が少なすぎると言うのが「名義貸し」に繋がっているようです。つまり、その手の会社を作るためには最低1人1級建築士が居なければならないのに、会社の数だけ資格を持っている人が居ないと言う事もありますし、設計した図面の承認にはその資格を持つ人のチェックが必要なのに、それだけの数の人が居ないと言う事。名義を貸すというのは、単なる小遣い稼ぎという話ではなく、そう言う供給不足の中で生まれた必然という部分もあるようです。
実際、これは建築関係だけの問題ではないでしょう。例えば弁当屋などに行けば、壁に大きく「調理師免状」や「営業許可証」のようなものが飾られていますが(保健所の指導ですよね)、実際にいつも免許を持った調理師が居るかというとそんなことはなく、バイトの若い子がおしゃべりに夢中になりながら適当に作っているなんて場面に出くわすことはいくらでもあります。免許・資格を持った人が居なければならないというのは、その免許・資格を持つ人が「責任を取って管理をしなければならない」「何かあったらあんたの責任」と言う事ですね。ですから私は「名前を貸しただけで、不正が行われているとは思わなかった」というのは言い訳にならないと思っているのです。

相手は名前の通った会社と安心をしていたのかもしれませんし、ただ名義貸しは恒常化していて機械的に貸しただけかもしれません。「兎に角、名前は貸してやるから謝礼は振り込め。そしたら、俺が承認したって事にして良いから、ヘタ撃つんじゃねーぞ」と言う筈だったのでしょうが、東横インは好き勝手にやって迷惑を掛けてしまったと言うことです。
先にも書きましたように需要に対して供給が少ないと言うことが問題だとしても、今の建設業界は見直されるべき分岐にあるのかもしれません。


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