transistasis
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2001年10月22日(月) 心の救済機関

どこかのカルト教団施設が取り壊されているという。
先日も確かフランスにあったカルト教団の巨大な像が当局によってなぎ倒された報道写真を見かけた。

人は言う。
「カルトは無垢な若者の人心を惑わし、洗脳して財産を巻き上げ、危険な教えで社会不安を煽る危険な存在だ。カルト教団には信仰の自由など適用出来ぬ。あれは詐欺集団だ。潰してしまえ」と。

だが皮肉にもこのような理由で迫害されていった宗教団体ほど存在理由が明確だったりする。
まともな志ある人間ならばたとえ如何わしいにせよ心の救済を明確に掲げるカルトに走るのは合理性がある。
一方で心の救済を放棄し、その組織防衛だけしか考えない営利団体に堕ちぶれた既存宗教に救いを求める馬鹿はいない。

現代の情況に適合した心の救済機関、カルト教団。
それを破壊しなければいられないほど現社会は欺瞞に満ちている。
その欺瞞を覆い隠すため、既得権益に縋る愚か者たちはカルトを恐れる一方、カルトと同じ手段を使って人心を惑わしている。
昨今のメディアの流す情報はカルトのそれと表裏一体だ。
カルトの危険性を説くその同じ口からカルトの教義宣伝と寸分違わぬデタラメな情報を平気な顔で垂れ流す。
曰く「白い粉に気をつけろ。あれはテロだ。人を疑え。密告せよ。」
曰く「狂牛病に気をつけろ。牛肉を食うな。国産品は危険だ。外国産を買え。」
曰く「イスラム原理主義のテロは悪だ。だからそれを滅ぼそうとしているアメリカの軍事行動は正義だ。だから従え。疑うな。」
人心を巧みに操作し洗脳するところなどカルトそのものだ。
カルトを否定し弾圧しながら自らがカルトそのものに化して人心を惑わす。

だがメディアは心の救済を求める民には何の答も示そうとしない。
ただただ危険を煽り現状に我慢せよと繰り返すだけ。

多くの民はその現状に絶望しているというのにだ!

もはやすべてはその限界値を突破している。
いくらカルト施設を破壊し、危険を説いてもそれに代わる心の救済機関が存在しない限りカルトは永遠に消滅しない。
ビンラディンも麻原もそれを知っていた。
だからからこそ彼等はこの歴史に自らの名を刻むことが出来たのだ。
この新世紀、この社会の欺瞞を放置し続ける限り、彼等の闘争は永遠に終わらない。

イエス・キリストの教義もまたその創世記にはカルトであったことを憶えておくのがよかろう。

今、求められているのは真の意味での心の救済機関なのだ。


絶望皇太子