英語通訳の極道 Contents|<< Prev|Next >>
アメリカ・メジャーリーグを代表するホームランバッター、サミー・ソーサ選手が、違法なコルク入りバットを試合中に使用したのが発覚し、アメリカのスポーツ界は大騒ぎになっている。 Say It Ain't So-sa!この記事は共同通信が配信して、読売新聞と朝日新聞も掲載した。(http://www.asahi.com/sports/update/0604/077.html) 「うそだと言ってよ、ソーサ!」 米メディアにも衝撃共同通信の記事が説明しているように、この記事の見出しは、有名なセリフ"Say it ain't so"(そうじゃないと言ってよ)をもじったものだ。 マイナー時代、足に合わない靴を脱いで裸足でプレーしたことから“シューレス・ジョー”のあだ名で親しまれたジョー・ジャクソンは、映画「フィールド・オブ・ドリームス」の題材にもなった名選手。イチローがメジャーにデビューするまでは、新人の最多安打記録保持者だった。 "Say it ain't so, Joe!"は、アメリカでメディアの見出しなどにもしばしば使われる常套句だ。ところが実際には、少年ファンはそんな気の利いた言葉を使っていないらしい。 原典が手に入らないので孫引きで申し訳ないが、webzine発行者のLamar Stonecypher氏の文章を引用する。(http://www.kudzumonthly.com/kudzu/jul01/index.html) Now, let's go back to that grand jury hearing before the trial. On the second day of Shoeless Joe Jackson's testimony, as reported by the New York Times, a group of small boys were gathered at the courtroom entrance. One asked, "It isn't true, is it, Joe?" He responded, "Yes, boys, I'm afraid it is." By the time this report reached the west coast, it had become: "Say it ain't so, Joe!"確かに、"It isn't true, is it?"よりは"Say it ain't so!"の方が口調も良くインパクトも強い。しかし、このセリフはあくまでもジャーナリストが作り上げた虚構なのだ。 スポーツに限らず、ジャーナリスト達がよりドラマチックに発言やストーリーを作りかえて、それが伝説として語り継がれるということはしばしばある。 日本の野球界の例を挙げてみよう。 数々の伝説を作ったプロ野球史上最高の投手のひとり、江夏豊。1973年8月30日阪神対中日戦、延長10回自らのホームランで勝負を決め、ノーヒット・ノーランを達成した。 その時彼が言ったと伝えられているセリフが、「野球は1人でもできる」。今でも名言として残っている。しかし、実際には江夏はそんなことを言っていないらしい。 江夏自身が屋鋪要氏との対談で語った真実だ。(http://www.89yashiki.com/index.htm) 「野球は1人でもできる」という談話が残っているけど、あれはすべて嘘だよ。口には出さなくても「野球は一人でもできる」と思っていたというところが、いかにも江夏らしい。 伝説のセリフの多くは確かに虚構ではあるが、事実よりもはるかに的確に人物・状況を表現していることがある。だからこそ、いつまでも語り継がれるのだろう。 くだらんと思ったら、メールで一言「くだらん!」と送って下さい。^^;
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