英語通訳の極道
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前回のコラムで書いたように、世間と比べて遅いのか早いのか分からないが、20代も中盤になって、思いがけず筆下ろしを済ませることになった。
最初は勝手が分からずとまどうことも多かったが、慣れると楽しくなり、ひと夏夢中になってそればかりしていた。
しかし、まだお口を使ったことはなかった。
興味がなかった訳ではない。10代の頃からこっそりと雑誌などを盗み読みしては興奮していた。ただ、相当高い技術を要求される行為であり、実際に自分がすることになるとは予期していなかった。
ところが、数年後思いがけずチャンスが訪れる。
さすがに初めての時は相当緊張した。それまでいっさい経験がない。訓練を受けたこともない。果たして、お客さんに喜んでもらえるだろうか?相手は日本から来た団体さんだった。
世の中には、筆だけしか使わない人もいれば、お口だけの人もいる。
どちらもそれなりの喜びがある。
初体験の順番も、普通は筆の方が先になることが多いが、どういうわけか、お口しかしたことがない人もいる。
大きな声では言えないが、
である。
プロとして常に高いレベルを求めて、日夜修行に励んでいる。
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