英語通訳の極道
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2003年03月13日(木) レールスターで行こう

昨日の夕方、携帯に電話が入った。知り合いの広告代理店だ。

「明日、突然プレゼン会議があるんですが、通訳、お願いできないでしょうか?」
「ちょっと待ってください、いまスケジュールをチェックしてみます」

あ、あいてる‥‥翌日なのに ^^;

「はい、大丈夫そうです」
「それでは、2時から3時の会議ですので、よろしくお願いします。資料などはまた、出来次第メールで送ります」

という訳で、突然の出張になった。

こういうのは、いつものことで、慣れたもんだ。

早速、新幹線を予約する。

便利なのが、JR西日本の電話予約センター。クレジットカードを使えば確実に抑えられる。(ただし、キャンセルや2回目以降の変更には手数料がかかるのでご注意を)

まず、Webで運行時刻と空席状況をチェック。西に向かう時は、できるだけレールスターに乗る。だって、普通の「ひかり」と同じ料金で、「ひかり」より早く、シートは全部2列のグリーン車仕様なんだもん。これ、と〜っても快適。でも、みんなよく知っているねえ。レールスターの禁煙席だけは、何日も前から満席になることが多い。

新幹線でも仕事をしなければならない状況では、オフィスシートを確保する。パソコンや資料を置ける広いテーブルと、電源コンセントが利用できる。モバイルビジネスマンの心強い味方。でも、ドアを開けてすぐの席なので、人通りが気になる。また、通路側だと、後ろの席からパソコン画面が丸見え。というわけで、オフィスシートはできるだけ窓側を。

実は、レールスターには、料金は同じで、変わった座席タイプがいくつもある。一度乗ってみたかったのは、4人でひとつのテーブルを挟むコンパートメント。以前一度、同僚通訳者4人が、時間調整して同じ新幹線に乗れそうだったので、喜んで予約を入れたのだが、仕事の予定が変わってキャンセルになってしまった。残念。「美女」3人に囲まれて楽しい宴会になるはずだったのに‥‥。いつかぜひ乗ってみたい。

話は戻って。余裕を持ってレールスターを予約できる時は、何号車の何番何席と、「いつもの私の」席を予約するのだが、さすがに、今日のあした。サイレンスカーに席が空いているだけでもラッキーだった。ま、この日は、お気に入りの駅弁、水了軒の「八角弁当」を食いながら、資料に目を通すだけなので、席はどこでもいいんだけど。

ちょっと気がかりだったのは、通訳の現場で重宝していた電子辞書、セイコーのSR9200(リーダーズ + COD + Roget's Thesaurus + 広辞苑 + 漢字源)が、数日前に故障してしまったこと。運悪く、保証期間が過ぎてすぐ、液晶の表示ができなくなってしまったのだ。多分、リード線の断線の可能性が高いのだが、昨日修理のため宅配で送った。電話で説明してくれた女性は、無料になるかもしれないし、販売店を通さず直接送ってもらえると安く修理できますよ、と言ってくれたのだが。定価4万3千5百円の貴重な道具。一年で引退してもらう訳にはいかない。

いずれにしても、今回は一時間の会議だけなので、電子辞書は必要ないでしょ。ほとんどセミ同通だから、引いてるヒマもないし。頭の中に詰まった情報で十分さ。

って、その頭の中が、ときどきスカスカなので、怖いんだよ〜 ^^;;

さて、件の会議。いつもは、代理店側のプレゼンを、クライアント側の外国人幹部に、英語で通訳するというのが多い。クライアント側の発言は、英語も日本語も向こうサイドの通訳者が担当する。ところがこの日は、会議が始まってもクライアント側の通訳が現れない。なんでだろ?仕方なしに、ひとりで始める。

説明、プレゼン、休む間もなくしゃべる幹部、早口のスタッフ。ときどき、アクセントが分かりにくいイギリスかアイルランド出身の外国人。そして、メインのプレゼンをするのが、ガーピー雑音が耳障りな、テレビ会議システムで参加している担当者。

これらの人たちが、同時にふたりも三人もしゃべる。はぁ〜。カンベンしてよ。発言者は通訳なんかほとんど待ってくれないから、いきおい、同通になる。英語、日本語、行ったり来たり。それも、マイクなし、ヘッドセットなし、大量の雑音あり、テレビ会議参加あり。カブる、カブる。結局その日の通訳は、



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になってしまった。

普通、こういう状況が予測できれば、そして、外国人(あるいは日本人)のグループがひとりないし二人の少人数なら、外国人の隣に座って、日英はウィスパリング、英日は逐次というパターンが一番混乱が少ない。もし、受発信機システム(パナガイド等)があれば、片方向あるいは両方向を同通でやる。

今回は、成り行き、時間的制約、代理店・クライアント間の遠慮などの要素が絡み合って、ちょっと恐れていたパターンになってしまった。ただ、ビジネスの現場じゃ、この程度の悪条件、ぜんぜん珍しくないんよね。

なんだかんだ言いながら、3時間しか寝ていない頭をフル回転させて、ようやく会議も終了。部屋を出る前に、外国人幹部が、ニコッとして、
"Thank you. Thank you."
それを聞いて、ホッとする。

代理店の人たちからも丁寧に感謝され、ちょっと恐縮。この人たちと一緒に仕事をするのは楽しい。戦略、クリエイティブ、メディア・ミックス。わくわくする。

会議が終了するなり、駅に直行。通勤ラッシュに巻き込まれる前に、ペットボトルの温かいカフェ・ラテと梅干のおにぎりを買って、新幹線に飛び乗った。

もちろん、これもレールスター ^^)


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