英語通訳の極道
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2003年03月12日(水) 山の音 Redux


以前、川端康成の「山の音」とサイデンステッカー氏の名訳について話をした。

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閑話休題: ところで、文章を書くとき、著者などの人物を指すのに、敬称ってつけるんだっけ?「さん」だとか「氏」だとか?普通、著名な作家、著者、政治家などには敬称をつけていない気がするんだけど?「川端康成さん」ていうと、隣のおじさんみたいだし、「川端康成氏」っていうのも、なんか同時代の一般人みたいで違和感がある。やっぱ、有名人は、敬称なしで「川端康成」ってのが一番ぴったしくるんだけど‥‥。サイデンステッカー氏はどうなんだろう?どうも、呼び捨てにすると怒られそうな気がして ^^;。それに、違和感がない。まだ、ご存命だし。文章作法に詳しい人、教えて下さい。

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さて、その「山の音」。小文を読んだ知り合いの翻訳者が、マーク・ピーターセン著「続日本人の英語」にあった日英比較を思い出した、と感想を書いてきたので、久しぶりにピーターセン氏の本を開けてみた。そこで、ビックリ。

なんと、マーク(なんで呼び捨てやねん ^^;)、「山の音」のサイデンステッカー訳を読んで感動し、それがきっかけで、日本文学を志したと書いているではないか。

すっかり忘れていた。というか、記憶に残っていなかった。彼の本はぜんぶ愛読したんだけど‥‥。そうだったのか。

実は、私が「山の音」を手に取ったのは、故仁平和夫氏の論文集を読んで、非常に面白かったからだ。不勉強な私は、それまでこんなに素晴らしい翻訳者の存在を知らなかった。たまたま、山岡洋一氏の「翻訳通信」(http://homepage3.nifty.com/hon-yaku/tsushin/index.html)サイトを訪れて出会ったのが、幸運だった。

仁平氏は、川端康成の日本語らしい日本語と、サイデンステッカー氏の定評ある英語訳を比較して、いろいろと考察を加えているのだが、これがとても説得力がある。

そこで、私も、「山の音」と"The Sound of the Mountain"を材料に、素晴らしい日本語と素晴らしい英訳の勉強をしようと思い立った次第。もし、テキストを日英ともデジタル入力して、対訳をExcelなどで表示すれば、非常に使いやすくなるんだが。グループの勉強会でも作ればともかく、ひとりではできない‥‥。

もし、まだ仁平氏の論文を読んだことがない人は、是非一読を。


↑今日は時間がないので、これでカンベンしてね ^^;(エンピツ投票ボタン)
いや、目から鱗が落ちます。

「翻訳通信」サイトには、この他にも、翻訳について興味深い内容がどっさり盛り込まれているので、翻訳の勉強をされている方は、是非一度覗かれることをお薦めする。ちなみに、私はこのサイトとは何の関係もない単なる通りすがりの者で、山岡洋一氏ともまったく面識がないことを、ひとこと断っておく。


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