英語通訳の極道 Contents|<< Prev|Next >>
週刊STという英語学習者向けの新聞がある。その2月21日号に、ひとりの読者が興味深い質問を投稿していた。 井上一馬氏が書いたある英語学習書に、“It's regretful that you lied to her.”という文があるが、“regretful”ではなく“regrettable”を使うべきではないか、という内容。 これは至極的を射た質問で、読者の指摘通り“regrettable”が正しい。 両者の使用法の違いは、接尾辞“-able”と“-ful”の意味を考えればすぐに分かるはずだし、正しい英語にたくさん接していれば、“It is regretful that...”という文章には違和感を持つはずだ。しかし、実際は英語ネイティブでも混同して使うことがある。 ちなみに、
こういう間違いは、英語学習書、特に日本人が書いたものにはしばしば見られる。しかし、専門家でも間違うことはあり、それ自体大騒ぎすることはない。問題は、次に続く質問内容の後半だ。 質問者が出版社に問い合わせると、数人のネイティブがチェックしているので英文は間違っていないと著者から回答があった、という返事が返ってきたらしい。 間違いを指摘されてもすぐに訂正しないどころか、「ネイティブが大丈夫と言っているから」という理由だけで自説を正当化する。 もしこれが事実なら、語学教育者、著者としては失格ではないだろうか。また、もしまだ本気で自分が正しいと信じているとしたら、こういう人から習う英語は、はなはだ怪しいと言わざるをえない。 英語ネイティブといっても、100%正しい英語を使っているとは限らない。それどころか、よほど高い教育を受けた人か、言語に対する造詣が深い人以外は、しばしば間違った英語を使う。日本人だって、平均的な高校生や大学生の日本語をお手本とはしないだろう。 井上一馬氏って、たまに書店でめくってみると、内容的にはおもしろい本も書いていたと思うのだが、、、。 (文中、太字はコラムニストによる)
Taro Who?
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