■ ヘッド・フォンから石田彰
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|| 2004年11月08日(月) わがままプリンセス ||


■一昨日くらいから、喉が痛く、咳が止まらない。風邪は家族の中で循環、蔓延しているらしい。

9日ぶりに幼稚園に行った娘が、なんだかとてもへこんで帰ってきた。理由を訊いても、ちゃんと言おうとしない。すると、いいタイミングで担任の先生から電話があり、その話によれば、今日はクラスでやる劇の配役決めがあったということだった。それを聞き、すぐに母は悟る。

女の子の多くがそうであるように、ウチの娘も姫志向が強い。何せ、朝起きたらまず、一番にティアラをかぶるような女だ。ひどい寝癖をつけ、パジャマを着たまま、姫はとりあえずティアラをかぶる。頭に冠をのせたまま、御朝食を召し上がる。

しかし。そんな彼女も、くじで負ければその他大勢の「村人A」なわけであり。

私が言うのもなんだが、彼女はとりわけ聞きわけが悪い方ではないと思う。一人っ子らしいわがままは、それは皆無ではないけれど、床に転がって泣き喚くようなことも今までしたことがない。しかし、今回ばかりは、どうにも悔しくてならなかったらしい。

どんな役を充てられようが、親にとっては子供が主役であるわけなのだけれど、もちろん子供にとってはそうではない。娘にしてみれば、頭に冠を戴くことこそが、演技よりも重要なことなのだろう。

とにかく、なだめたりすかしたりしつつ、気持ちを盛り上げてはみたけれど、果たして、ちゃんと身を入れて取り組んでくれるかどうか・・・・とても心配である。
明日、幼稚園から帰ったら、またホットカーラーで髪を巻き、家の中でだけでも、プリンセスにして差し上げようなどと目論む、バカな母である。

■ところが。そんなことを思っていた矢先、何気にテレビを見ていた亭主が、洗剤のCMに出演している小さな女の子のことを
「この子、可愛いね」
などと言うものだから、さあ大変。
娘は、一瞬にして顔を膨らませると、ものすごい速さで脱衣所に駆け込み、内側から鍵をかける。しまった!と思って名前を呼んでみたが、応答はない。

その後は・・・・まさに天岩戸隠れ、彼女は天照大神のごとく、頑として出てきやしない。父と母は、差し詰め天手力男神とウズメである。
放っておいてもよいのだが、うっかり眠られても困るので、またもなだめすかす母・・・・本当に、扱いにくくなったものだ。

そして、なんとか出てきてくれた娘が、すかさず言い放つ。

「ぱぱにひとこといいたいんだけど。あのしーえむのこのほうが、るこよりかわいいってこと?」

私は亭主と顔を見合わせる。言葉だけを聞いていたら、まるで大人の嫉妬のようだ。

母:「るこの方がかわいいさ、ねえ?」
父:「うん、るこが可愛いに決まってるよ〜」
娘:「・・・ならいいんだけど」

我が家の姫は、そんなお年頃であるらしい。

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