■ ヘッド・フォンから石田彰
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|| 2004年11月06日(土) わすれな人。 ||


■文庫を2冊読了。その本に思いがけずやられてしまい、今日は、書こうと思っていたことが他にもあったのだが、そんなことはもう、どうでもよくなってしまったのでやめておく。

■「晴れの雨。」
ネタバレ無しで感想を書くのは、私には無理なので、一応断っておく。ついでに、反転などもしないので、念のため。
主人公・ヒカルの幼稚さと遅々とした展開にイライラし、なかなか読み進まなかった。恋人である宮城の、あまりに天然然とした言動や態度にも、その宮城と決別できないでいるヒカルにも、いちいち苛立った。しかし、バカで、愚かで、ひどく子供っぽいくせに、対、自分の気持ちには、真摯で、健気で、何より、その描写があまりに細かく丁寧で、読んでいて根負けしてしまう。「わかったから、もういいよ」と思うほど、これでもか、というくらい、まるで自虐的なほどの素直なモノローグに負けて、感情が動かされていく。
木生の孤独な生、そして、時々垣間見える執着、正直、テーマ的にはずるい、と思うけれど、他愛の無い日常と儚げな姿とのギャップに、否応無く不安感が煽られる。
伏線があからさまなだけに、かなり早い段階、エピソード的には映画を見に行く約束をした辺りで、ラストが読めてしまうのだが、ページ数が少なくなるにつれ、エンディングに辿り着くことに躊躇してしまう。最後は、わかっていても泣いてしまった。特に「光の記憶」は、嗚咽で読めないほどだった。
今更、過去の話など蛇足なのではないだろうか、と危惧された「あの日、初めての晴れの雨。」も、予想に反して、とてもせつなく、いい話だった。 
とても痛い作品だったけれど、これは、決してアンハッピーエンドな話ではなかったと、私は思いたいです。

■「わすれな人。」
朝丘さんのリズムというか、雰囲気に慣れてきたこともあって、こちらの方は苛立つこともなく、最初から入り込めた。感情の起伏すら、淡々と独白にしていくのは変わらないのだが、ちょっと過敏とも思えるほどのそれは、またどこまでも丁寧で、引きずられずにはいられない。
ビニール傘の件りなど、多少乙女チックには感じたものの、既にウルウルしてしまっていた。
不器用ななりに、多分、立場としての精一杯であっただろう皐月の誠意と優しさや、それをわかっていてなお、せつなさと幸せが交互に去来する葉月の想いが、なんともいえず微笑ましく、悲しい。
終盤、思ってもみなかった展開に、素でびっくりするとともに、タイトルの意味を改めて知ることになる。そして、ストーリーが、どんなラストに向かってひた走っているにしろ、間怠こしく感じていたモノローグのひとつひとつにさえ、無駄が無かったことを知るのだ。
伏線を伏線と気付かせないことは、その「オチ」の衝撃を倍増させる。そういった意味で、私はとても衝撃を受けたし、なんとも言えない後味を残された。上手い、と思った。サプライズな涙も乾かないまま、唐突なラストに持ち込まれ、その後の未来を任されてしまったわけだが、そういう読者への依存は、私は嫌いではない。

■どちらかと言うと、「わすれな人。」の方が好みだったかもしれない。
余談だが、「晴れの雨。」は渡辺多恵子の「雨に似ている」を、「わすれな人。」の方は村上春樹の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を思い出させた。特に後者は、私の最も好きな作品の一つであり、「伏線を効かせたオチ」という意味では、最上級に近い賛辞だと思ってもらっていいと思う。

■生意気なことばかりほざいてしまいましたが、お薦めしてくれて、どうもありがとうございました。↑の感想で伝わったかどうかはわかりませんが(汗)すっごくよかったです。
あと、朝までメッセの件(笑)こちらこそ、すごく楽しかったです。懲りずに、またお付き合いくださると嬉しいです、どうぞよろしく〜♪(私信)

■というわけで、以下、バタバタと雑記。
「学園アリス」を観て「マ王」を観て「ケロロ」を観て「ボーボボ」を観て「ジパング1-2」を観て「ヒートガイジェイ」を観て「WOLF'S RAIN」を観た。「種デス」だけが未だ。感想などはまた明日以降、ということで。

↑エンピツ投票ボタン(どちらも怖すぎ・・・)
いや、私もお仕置きして欲・・(強制終了)

■あ、そうそう、来週の「衛星アニメ劇場」だが、大将、大塚氏、斎賀さんに続き、モリモリがご出演。

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