小さいころ暗闇の中には何かがいるようで電気を消すと暗闇を見ないように慌てて目を閉じたまぶたの向こう側で濃くまったりとした闇がわたしを触っていく目を開こうとまぶたの上でまどろむ怖くなって布団の中で目を開けた大きく何度か息を吸ってふたたび目を閉じてようやく眠りがわたしの手を引いていく夜、寝る前にぼんやりと天井を眺めるもうあのどろりと濁った闇は存在しないわたしはどんどん鈍くなっていく身体中すべてに触れるものに鈍くなっておとなになっていく