おだやかな昼下がり。 ハムとクリームチーズをはさんだ、ホットサンドをほおばりながら ひざの上に載せた、本のページをめくる。
開けておいた窓から、涼しい風がふく。 振り向いたわたしの頬を優しく撫でた。
CDプレーヤーからカノンが流れている。 文字を目で追っていく。 あっという間に世界が広がる。
おだやかな昼下がり。 なにげないたくさんの幸せ。 すぐ近くに感じる、家族のぬくもり。
わたしは本を閉じると、大きなあくびをした。 どれくらい大きいかというと、近くを通った猫がびっくりする程度だ。 はっきり言って、わたしは暇だった。
旅から帰って一ヶ月。 わたしは「よし」と声を出して言うと、すっくりと立ち上がった。 ふたたび燃え上がった、決意を胸に。
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