2004年09月05日(日) お仕置き
 

9/2からの連載になっています。まずは2日の「赤い糸のあなたとわたし」からご覧ください。


うーん、どうなってるんだ。
おれは本日5箇所目の工事中の看板を見て嘆いた。

「お兄ちゃん悪いね。違う道通って。」
「何の工事です?」
「水道管が破裂してね。」

(ありえねー。)

さっきは突如地盤沈下、その前は地面に亀裂。
その前はマンホールに人が詰まって大騒動だったな。
レスキュー隊来てたな。
まじですか。

おれは仕方なく来た道を引き返す。
赤い糸が続くほうへと足が進む。
運命に逆らうなという神さまのお告げ?てか嫌がらせ?
どっちにしてもこの3日間、おれはろくに進めていない。
というか街から出れてない。ありえない。

いらいらして。どうしようもなくいらいらして。
どうせお前には何も出来やしないと言われてるような気がして。
おれは思いきり赤い糸を踏みつけようとした。
が、足を振り下ろす瞬間赤い糸がハリネズミのように
棘だらけになったのを見ておれは慌てて足を止め、勢いよすぎて尻もちをついた。

「いってー!」

尻を摩りながら見ると赤い糸は元に戻っていた。
なんてことだろう。赤い糸に遊ばれている。
おれはどうしようもなく落ち込んだ。
が、ちょうど近くに止まったバスを見て滑り込むようにして乗り込んだ。

(バスに乗ったらこっちのもんだ。ザマーミロ。)

歩きがダメならバスである。なぜ思いつかなかったのか。
これで隣の街までいっちょくせーん。
と思った瞬間、道端の電信柱にどこに雲があったのか
どでかい雷が落ちたかと思うと、ぐらぐらと揺れた電信柱が一直線に倒れてきた。

爆発音みたいな鼓膜を破るような音がしたかと思うと
バスの手前に道をふさぐようにして電信柱が転がっていた。
運転手は腰を抜かしながら運転席から転がり落ちた。
泡を吹いて倒れたい気持ちである。

「まじっすか。」

そのとき、上空にあった雲が人の顔のように姿を変え
そのうえにやりと笑ったこと、おれは見逃さなかった。

やるじゃねえか、神さま。
宣戦布告だ。

おれは赤い糸を右手で切るようなしぐさをしてみせて
バスから降りた。ついでに電信柱を蹴っ飛ばす。
右足が少し痛かった。(ちょっと泣いた。)





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