帰り道、交差点で信号待ちしていると、突然「ひよひよひよ」とサイレンの音が。見ると、白バイであった。「はい、そこのスクーター、左に寄せて止まって下さい」と、斜め前を走るスクーターを止めた。運転手のあんちゃんは、きっぱりとノーヘル君だ。まあ、見つかったら捕まるやな。

　だが、警官が、自分のバイクを止めて下りた、その瞬間。

　ノーヘル野郎が、いきなしエンジンスタートして逃走しようとした！

　ばかやろう、信号赤だっ！！

　更に、その先の横断歩道にはお年寄りがっ！
　だがそこへ、警官の見事なタックルが決まった！　偉いぞ警官！　ひゅーひゅー！　日頃の訓練の賜物だなっ。

　もちろん、ノーヘル野郎のスクーターは、部品ばらまきながら地面に転がった。遠目に見ただけでも、ハンドルとバックミラー、マフラーが逝っちゃったのが解った。おそらくあの転がり方では、車体そのものも歪んでいることであろう。ざまみそ。

　わしは運転免許持ってないんで、これらが何点の減点になるのか解らないのだが。元々のノーヘルに加えて、まず信号無視だよな。逃げようとしたってのは何罪だ？　公務執行妨害に当たるのかなあ。あと、横断歩道上のばあちゃん轢きかけたから、傷害未遂にもなるんじゃないのかなー。で、合計何点だ？

　まあ、減点いくつか知らないが、とりあえず、こーゆーバカは、免許取消にしてくれ。頼む。

　身体全体でノーヘル野郎を組み伏せている警官に、心の中でそうつぶやきながら、わしはそこを去ったのだった。

新瀬