時々彼を思い出す。 たいてい、いい話ではない。 でも、笑い話だ。
結局、今の私のなかの彼は。 あの頃の彼が私にしたように、 寂しいときに使える便利な思い出だ。
あの頃の私より、 私はわたしを知っていて、 寂しいとき、すらなくなった。
私には、わたしが居るからだ。
そうなって初めて。 今の彼が、幸せでありますように、と、 心から思えた。
昔みたいに、 私の悲しみのうえに願っているのじゃなかった。
彼が幸せでなければ私も幸せではないから、 というか、私が報われないから、
ではなく、
私は十分幸せだから、 あなたもそうであったら嬉しい、程度の。
彼が歩んで居るであろう未来を想像するとき。
彼女と結婚したのかな?してないのかな? どっちにしろ、 彼らは幸せそうじゃないよね、 という、 意地悪な気持ちがあった。
この時点で、 幸せになってほしいとかは偽善的なものだし、 私と一緒じゃないなら幸せになってほしくない、が本音だった。
でも今、 私は幸せなので、 彼とは関係ないところにいる。
そこからしか幸せを願えないなんて、 弱い人間なのかもしれない。 どうでもいい人間の幸せしか願えない。
どうでもよくない人間なら、私が幸せにしたい。 幸せを与え合いたい。
きっとそれでいいんだ、と思う。 どうでもいい人間の世話まで出来るほど、 人間てデキてはないと思う。 世話が出来るなら、どうでもよくないってことだ。
そうだな、そういう意味では、 今は会えるかもしれないな。 連絡のとりようもないから、ないだろうけど。
お幸せに。 今迄、ありがとう。
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