こんなに体が痛くなって、 こんなに自然に涙が零れることが、久しぶりで。
足が、手が、胸が、ズキンズキンと痛む。 体の内側から痛みがしみてくる。 寺島は目と鼻の先で動いて、笑っているのに。
別にひどいことを言われたわけではないのだ。 でも常に優しく包まれているわけでもない。 そうであることを望んでいるわけでもないのだが、 優しさが見えないと、 その後の行動が全て私を遠ざけているように見える。
一種の被害妄想。 寺島の笑顔は何も変わらないし、 私に心の内をさらけ出すことも変わらない。 嘘を吐けば私にはすぐわかる。 浮気を隠せる人でもない。
どうして、今日の私の涙腺はこんなにも弱いんだろう。 とるべき道は決まっていて、とらなくてもきっと後悔したのに、 とったらとったで涙が止まらなかった。 だからって寺島に抱きしめて欲しいなんて思えなくて、 ただ、私を受け入れて欲しいと思っていた。
距離があってもよかった。気持ちさえあったら。 でも気持ちも、私には見えなかった。 あなたの想いは今、ただまっすぐにひたむきに、 コートの上の黄色いボールに向かっている。
それが悪いなんて言わない。 むしろそうじゃないあなたなど魅力がない。 だけど同時に、私への配慮がなくなるあなたは嫌だ。 それでいて私以外の人には何も変わらないあなたが嫌だ。 ある意味私はとても近くにいるのだけれど、 なんだか甘えられているようで、情けなくなる。
私は私なりに最大限に、寂しいことを伝えたのに、 あなたは一緒にはいてくれなかった。 その後謝罪されても、みじめなだけ。 謝罪が欲しかったんじゃない。 最近不安定だから、わがまま言ってごめんね、と言った私を、 そうかと受け止めてくれればよかった。 いつもなら、容易いはずなのに…
しばらくはこうなんだろう。 様子見、だ。 我慢だ。
釘鎖しとかないと。
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