under one umbrella

2006年02月14日(火) 繋ぐ繋がれる



日付は変わって既にバレンタイン。
昨日はレジを打っていても、
女子高生達が板チョコレートを大量に買っていったり、
生クリームはどこも売切れだと言いながら親子が出て行ったり、
なんとも微笑ましくて、みんな大事な人がいるんだなぁってジンとした。
常連の女の子もガーナを買っていって、
照れた可愛い笑顔をあたしに見せてくれた。


そんなあたしも、
今日に大きな期待をかけている誰かさんのために材料を買い込む。
作るってバレバレだなぁと思いながら自転車をこいだ。
ちなみに、あたしが買いに行った大きなスーパーも、
生クリームは売切れだった。








寺島は最近、祥子ちゃんで練習してるらしい。
今まで人付き合いのために人を褒めたことがなかったから、
やってみてるんだって。


「告白してうまくいかなかったときもさぁ、

あんまりその人のこと褒めてなかったよ。

やっぱ褒めてオトさなきゃね」



「そうそう。

あたしみたいに勝手にオチてくれる女なんていないんだから」





言い終わってはっと気づいた。





「あ、いや、だから大事にしろって言ってるわけじゃないんだけどさ」




あたしが言い終わらないうちに、寺島がかぶせてきた。




「うん、だから大事にしてるんだけどなー」





最近そのセリフが真実であることが悔しい。
この会話は寺島がバイト先に迎えに来てくれて、
すれ違ったもののなんとか合流し、ファミレスに行った帰り道だった。
それぞれ片手にはこれから私の部屋で食べる物を持って、
片手は寺島のジャケットのポケットの中で繋がれて。



ポケットに入れていてもちっとも温まらない寺島の手。
子供のときから温かくて人気だったあたしの手は、
最大限に役に立っている。
素直に嬉しい。
寺島は喜ぶより、不思議がっているけれども。






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