少し離れた場所にいる、寺島を見れなかった。 苦しかった。
本屋の、文房具コーナー。 必ず置いてある試し書きの小さな紙に、 彼は書いた。 初恋の人の名前。
あたしが書けばと言ったんだけど、 そう簡単に書かれると、 やっぱりまだ心にいるのかなぁと思うよ。 最近その話は出ないけど、 あなたがあたしを思いやって出さないだけだったりして。
なんてひねくれて考えるのは、 明らかに自分に自信がないのだろうと思うんだけど。
ダイエットの本を買うか買うまいか考えたときに、 何のためにダイエットするのか忘れてると思った。 だから続かない。 4月に続いたときは、はっきり、 「自分のためだ」 と気づいていた。 今は、どうだろう…。
少し離れた場所にいて、テニス教本を眺めている寺島を、 見れなかった。 苦しかった。 嫌だった。 どうしたらいいんだろうと思った。
今のあたしには、1人の時間が必要なのかも。 甘えてだらけた頭に、現実をつきつけてやりたい。
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