「早く早く、ほら起きて。
用事があるんだから」
寺島がそう言ってあたしを起こす。 いつもより早い寺島の帰宅準備に、 あたしはだるそうに起きてみせる。 もっともらしく寺島の手をつかむ。
「はいはい…」
途端に顔が引き寄せられ、 寺島の唇が押し付けられた。
「いい“用事”でしょ?」
長いキスが終わった後 そう言って寺島はにこりと笑って、 ちょうどいい強さであたしを抱き締めてくれた。
今こんなに距離が近い理由が、 なんとなく頭に浮かぶ。 ここには書けないけれど、 もしそうなら、 必ずいつか壊れるんだろうと思う。 幻なのかもしれないと思う。
だけど、今が幻かもしれないことより、 そう怖がることで、 今思い描く未来が幻になってしまうことのほうが、嫌だ。
だから、愛の言葉も、キスも、 理由も、全部ひっくるめて受け止めよう。 未来への糧にしよう。
一緒にいるのが当たり前。 そんな人がいることは、家族も含めて、 幸せだと思うよ。
あなたを愛しいと思える限り、 あたしはあなたを諦めきれないだろう。 大人の恋愛なんて、 まだまだ出来ない、ね。
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いまいち文章のカンが戻ってきていないようです…。 だけど、少しずつ復活しようと思います。
また、よろしくお願いします。
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