年明けて初めて、 茶原から連絡が来た。
「おめでとう」を言うタイミングを逃してそのままで、 気まずいなぁと思っていたけど、 茶原は言ったもんだと思ってたらしい。 普通に話せた。 よかった。
最初は、近況とか、皆の話とか。 でも結局は、寺島との話になっちゃう。 茶原は教えてよ、って態度で聞いてくれるけど、 何だか悪いなぁ、と思ってゆっくり話す。 他の話を混ぜながら。
桃子の話を、した。 書きながら、自分が情けなくなって、 ちょっと暗いメールになってしまった。
けど、茶原がサクッと、
「そう落ち込むなよ」
ってくれて、 何だか嬉しかった。
寺島とのことが重たい話だっていうのは、 痛いくらいわかってるから。 そうやって軽く流してくれると嬉しい。 ありがとう。
何でいつも。 あたしの欲しいものくれるんだろう。 不思議だな。
「気になる人は、いるっちゃいるけど…
望みが全然ないからやる気が出ないってのもあるよ(笑)
寺島といると忘れてるし…」
「寺島に相手が出来て、
離れれば変わるかもしんないよ。
付き合いが長いからだよ」
茶原の言葉は、 あたしにとって妙に説得力がある。 どうしてだろう、わからない。
寺島との未来はないに近いのだろうけど。 それでも生きていけるかもしれないと思えた。
きっとあたしはまた恋が出来る。 茶原との会話でそう思った。
いつもこの人は、あたしをポジティブにしてくれる。
寺島が他の人を見つけるまで。 寺島があたしを嫌うまで。 悪あがきしていたいし、 甘えたいとも思う。
けど、 そうなってもテニスは続けると決めたから。 そうなっても笑っていられる女になろう。 寺島の姿を直視できるようになっておこう。
どんな未来でも、 あたしの視線の先にはきっと寺島がいる。
隣に誰かいるとしたら、 あたしが寺島を愛する以上に、 あたしを愛してくれる人。
…としか今は思えない。
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