under one umbrella

2005年02月10日(木) ボール



「明日さ。

朝から映写会する?」




「明日は買い物に行かなきゃ。

夜はダメ?」




「ダメ」




「ごめんね」




「どこに買い物行くの?」




「アーケードだよ。

もうすぐイベントでしょ?」




「あぁ」



「お酒のやつ、買ってくるから」





あなたにあげるチョコはもう何個目かなぁ。
何だかんだで、
付き合って以来、別れてもあげてるよ。






結局のところ、突き詰めていけば、
テニスという大きいものがあるあなたには、
あたしは必要ないのだと思う。

たとえあたしがいなくなることで、何か失ったように感じても、
それをテニスで埋めれるくらい、
あなたのテニスへの思いは大きく、強い。


好きとか愛してるとか抜きに、
あたしはそれを心から羨ましく思う。
そんなものに出逢えた寺島を、
この人は幸せだなぁと思う。



あんなに好きだった、声楽の道を手放してしまったことを、
心から悔む。
あたしが主体性を失ったのは、
あれ以来のように思う。


主体性がないことを、ひしひしと最近感じる。
あたしの歌は、
これからずーっと、中途半端なのだ。





寺島がテニスを好きなほどに好きなものは、
今のあたしには寺島しかなくて、
なんだかそれが、悪くはないんだろうけど、
弱いのかなぁとか。
寺島は、傍に居ることを許してくれてるけど、
いつか離れる日が来るんだろうから、
そのときあたしはどうすんの?って、
寺島のテニスの話を聞きながら思った。




今日は寺島と壁打ちに行って、
そしたら寺島が古いボールを1個くれた。
色のくすんだ、少しだけ柔らかなボール。

こんなになるまで陽ちゃん、練習したんだなーと思うと、
また寺島が羨ましくなった。



大事にしよう。



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