怒らないのが売りのあたしだけれども、 久々に、プチッときた。
まったく、 あたしの周りのチビ女にはろくなのがいやしない。
どうして揃いも揃って、 彼氏がいることを笠に着て調子に乗って、 えらそうにペラペラ喋る女ばっかりなんだろうか。
腹立つ…
髪の毛を切った。髪型が変わった。 寺島がいたく気に入って褒めてくれたそれは、 仲良くさせる役割を果たしてくれているよう。
今日寺島が昼から来ると言うので、 朝からお風呂に入って、 じっくり手入れもして。 すると、引き戸の向こうにある携帯が鳴り出した。
『もう着いたんですけど』
まだ11時台なのに。 もうお昼ご飯食べたんだって。
『まだお風呂から上がってもないんですけど』
電話の向こうで寺島は笑って、 少し待つことを了承してくれた。
部屋で、濡れた髪の毛をドライヤーに当てる。 その光景をしばらく見ていた寺島は、 あたしからドライヤーをとって、 手ぐしをしながら当ててくれた。
前にも櫛で梳いてくれたことを、ふぅっと思い出す。 あの頃より、大分短くなった。
地肌や額の、 寺島の手が触れた部分がジンジンした。 触れられるたびに、心はビクッとしてた。
きっとこれもまたあたしの記憶に刻まれるので、 よしとする。
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