ねぇ、兄さん。 今すぐにでもメールを打とうかと思ったけど。 きっと忙しいし、 「またあいつの話か」 とかって呆れられるだろうから、やめとくね。
「まだ続いてんのか」 って怒られるだろうし。
けど、苦しいから、 兄さんに宛てて書くね。 そしたら、少しは、楽。
あのね。
「まりあがいてくれるから、
テニスに打ち込めるのかもしれない」
って、言ってもらったの。
素直に、嬉しかったんだけど、 本当の意味は微妙に違って、
「まりあが、
彼女もどき(?)みたいなことしてくれるから、
彼女探しをしなくてよくて、
だからテニスに打ち込めるのかなって」
そういう意味だったんだって。
直後は、そう悲しくなかったんだけど、 よく考えたら、
立派に『利用宣言』なのかなぁって。 思っちゃって。
それとは別にね。
ボクの大学の女の子と、カラオケ行こうって話、 してたんだ。 別に合コンってわけじゃないんだけど。
竜崎君や、藤原の歌を友達に聴かせたかったし、 大学の女の子の可愛さを、自慢したかったの。
そしたら、寺島がすっごく乗り気でね。 その話しかしないの。
大学に、桃子ちゃんって友達がいてね。 可愛くて、ボクがいつも自慢してるの。 その子に会いたい、友達になりたい、って、 結構前から言ってた。
今回、カラオケがちゃんと計画されれば、会えるから、 楽しみだったみたい。
でも、 話を聞いてるうちにね、 すごく、寂しくなって。
彼女じゃないんだから、 その寂しさを訴える権利なんかないのに、 最近苦しかったせいか、 つい甘えちゃったんだ。
つい、我が儘言っちゃったんだ。
「昨日のメール、『利用宣言』でしょ?」
って、聞いちゃった。
あたしの話をして欲しかった。 そうじゃないよ、って、 その話を繰り返して欲しかった。 そんな、我が儘だった。
最初は否定してくれてたんだけどね、 そのうち、
「わかったよ、もうまりあに手出さないから」
って言い出して、傍に近づいてくれなくなった。
そんな方向に発展したことが悲しくて、 少し泣いたけど、 このときはまだ、大丈夫だった。
それでね。
メールで謝ろうと思ったの。 だから、メールして。
そこでまた、カラオケの話になって。 けど、今度は普通にしようと思って。 普通に、接したの。
そしたらね。
「これで都合の良い彼女じゃなくなるでしょ?」
ってメールが来たの。
どういうこと?って思って、 そう返信したら、
「俺は、桃子ちゃんが好きです。
だから、あなたには手を出しません」
って、来たの。
嘘だって、わかってたよ。 会ったこともないのに、好きになるわけ無いじゃんね。 明らか過ぎる、嘘だよね。
その明らか過ぎる嘘で、 どれだけボクが傷つくか、どうして思ってくれないんだろう? 嘘の内容じゃなくて、 嘘をつかれたこと、明らかに故意に傷つけられたこと、
そのことが、悲しくて悲しくて。
その悲しみから逃れるために、
「ばいばい、陽ちゃん」
って、言った。
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