under one umbrella

2005年01月20日(木) もう、いいよ。


とても、安っぽいのだけれど。
最近、抱きしめてくれるようになったというだけで、
あたしは寂しくなくなっている。


寂しくて寺島に会いたいと思うんじゃなく、
昔のように、ただ、時間を共有したい。

会って、辛い気持ちをぶつけたいんじゃなく、
例えば映画を観るとか、
テニスをしに行くとか、
楽しいことをしたい。



こんな風に、ちゃんと感じることが出来るようになったのは、
ごくごく最近だ。
以前のあたしは、言葉に出来なかった。

今より幸せを感じていたはずなのに、
辛いことは少なかったはずなのに。

少しは、成長した、ということなのかな。
そう思うと、過去をちょっと愛しく思える気がする。







「抱き締めるとね、まりあ、

顔がほころんでるよ?」


抱き締められても機嫌は直らない、
という顔をしてたはずだったのに、
そんなことを言われて、恥ずかしくなる。


「違うよー、

ほころんでなんかないよ」


そう言って、改めて顔を作って、
抱きついてみる。


「ほらほら、

このへんがほころんでる」


口元を指差されて、あれ?となる。
もう、いいよ。
嬉しさを隠さずに、抱きついた。







抱き合った後で、寺島が布団をかけてくれる。
抱き締めてもくれるから、暖かい。

そんな気遣いがね。
寺島の心に、余裕があるんだなぁって感じられて。
嬉しかったんだよ。



寺島が優しいときは、余裕があるとき。
寺島の心が、穏やかなとき。
あなたがずっと、そういられたらって、本当に思うんだよ。
だって、苛々してるより、楽だと思うからね。
こんなこと書いても、ただ、
優しくしてもらいたいだけだとしか見えないんだろうけど。



「ねぇ陽ちゃん…

あったかい。」



寺島が、眠そうに返事してくれた。


「うん」





寺島の腕の中で眠るのは、幸せなようで、
時間が勿体無いし、恥ずかしい。


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鼻が子供の頃から悪いから…。
いつも寺島に起こされてから、1人で恥ずかしくなる。


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