飲みすぎた。 2日酔いも、いいところ。 こんな時間になっても、まだ残ってる気がする。
記憶は残ってる。多分。 酔っ払ったあたしに寺島が呆れてた事も、 その後したセックスが最悪だったことも、覚えてる。
最悪って。 あたしが、ね。
早く帰って、寝なきゃいけない。 明日はテニスはないけど、寺島と壁打ちに行く約束だった。 藤原と竜崎君はとっくに帰っちゃったし…
「じゃ、そこからそこまで歩いてみ」
3歩目で、ふらりとする。
「ほら。きついんでしょ。
ちゃんと歩けるようになるまで、ここにいな」
嫌だ。 そんな迷惑かけたくない。 寺島、すっごい眠そうな顔してるし、 声とか態度とか怒ってるし。
飲みすぎた理由なんかない。 美味しかっただけ。 だから、言い訳はしてないと思うけど。
こないだ以上に、ごめんなさいと言ってた。
あたしは酔うと、スキンシップ魔になる。 寺島には常に近くべったりだし、 下手すると藤原、 更に下手すると竜崎君にまで。
いつもしたいことの背を押すのが、お酒ってわけだ。
2人に聞こえないような声で、寺島に聞いてみたりする。
「ねぇ、あたしが他の人としたら、嫌?」
「…さぁ、好きなようにすれば」
そっと、あたしの酔いが醒めていく。 墓穴掘ってるだけ。
酔うと、感情のコントロールがしにくくなる。 それを失う境界線を見極めるのが、 今後のあたしの課題だろう。
だから、意識は大丈夫だと、 あたしは認識する。
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