電車で寺島のことを考えると、 何故か、終わらせようとする方向に考えている。
憎むべきなのだ、と思った。 今までのことも、日常の些細なことも、 どんなに彼が、あたしを親しい人間だと認めていても、 あたしの前にあるのは、ただ彼が、
「本命じゃない女も抱ける」
という事実だけなのだから。
竜崎君の好きな、ポルノグラフィティを聴き続けて。 ずっとそのことばかり考えた。
あたしが、その道を選ばなきゃいけない。 あたしが、振り切らなければならない。
でも、例え、 「別離」をあたしが選ぶにしても、 そこに、 「憎悪」は必要ない。 ただあたしが選んだ後、 なるべく早く再スタートを切るために、必要なだけ。
もし「憎悪」を手に入れてしまったら、後はただ、 あたしがあたしのためだけに、 寺島を傷つける未来しか、ないのだ。
それは、嫌だ。 お世辞にも愛ではない。
だから、憎むのはやめようと思った。 言い訳を見つけた気分だった。 寺島を愛し続けるための、言い訳。 「別離」を選ばない、言い訳。
愛したいの。 許したいの。
あなたにとっての、 優しい逃げ場でありたい。
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