4つの自転車は近く隣り合って風を切り、 酒とお菓子と笑い声を運ぶ。
久しぶりのアルコールは快く回り、 心地いい喧騒があたしを包む。
膝の寺島の頭の重さを感じながら、 藤原と竜崎君の野球論を聞きながら。 うとうとした。
大事な時間を、眠って過ごしたくない。 そう思っていたら、寝言を口走って、 藤原と竜崎君に大笑いされた。 恥ずかしいけど、 思い出が増えてよかった。
何もなかったように、寺島と仲が良かった。 そう、 愛したことさえ、幻だったように。
まだ太陽の昇りきらない、暗い冬の朝に2人を見送り、 部屋に戻ると、 本当についさっきまで眠っていたくせに、 寺島は起きてあたしを抱いた。
もう何も生まれやしない。 もう何も起こらない。
ときめきも、刺激も、 愛も、未来も、幻想も。
あたし達には関係がない。 ただ、時が過ぎてゆく。
何にも発展しないから。
今までは、少しでも、信じていたけど。 もうそんなカケラすら。 見つけられなくて。
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