気がついたら、 出逢いの月の10月が終わっていて、 振り返ってみて、 あったようななかったような。 とりあえずそれ以上の進展がないことは確実である。
別の雑誌には、11月3日に運命の出逢いとか書いてある。 あたしの携帯には毎朝、その日の占いが送られてくる。 少し、閉口気味。
「来年恋人が出来るらしいよ、俺」 なんてメールされても、 「ふーん」 としか返しようがない。
いいんじゃないの? 同じ、テニスしてる人で、 テニスの話が出来て、 テニスのとき逢うんだからデートしなくてよくて、 細くて。 きっと、そんな恋人が出来るんだよ。
あたしがそれまでの、 寺島のための女だとすれば、腹も立たない、別に。 愛されてもいないのに抱かれるのには、 もう慣れてしまった。 あたしが愛しているから、可能なだけ。
「まりあはね、今年はよくないけど、来年から変わるって」 あなたがいるのは、よくないことなのかな。 来年、あなたに恋人が出来て、あたしから去っていって、 それであたしの状況が変わるってことなのかな。 しかもそれは、あたしにとって良いことってことだよね。
考え付くのは早かったけど、 認めるのは、ちょっと時間がかかった。
何が悲しくって、恋する相手に、 「当たってるといいな〜♪恋したいな〜」 なんて言わなきゃいけないんだろ。 泣きたかったけど、電車だったから我慢した。
だって別にこの人は。 あたしに恋されたいわけじゃ全然なくて。 「彼氏作れ」 って言うし、 男の子の名前出したら喜ぶし。
寺島が喜ぶならそれでいいんじゃない? もう難しいこと考えるのは、疲れた。
1人で泣くことは、思いがけず辛いから。
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