携帯のディスプレイに表示された名前。 それをあたしが、 あたしの中にある「寺島の知り合い」から検索してる間に、 あなたが今すぐテニスに行くことは、決まってた。
テニスを選ぶことを、 あなたはすごく気にしてくれたけど、 あたしの中では、 そんなに悲しむことでもないんだよ。
あなたがテニスを選ぶことは、 もうあたしは知っていた。 あなたが躊躇わないことも、判ってた。
意外だったのは、 そうやってあなたが必死に謝ってくれたこと。 フォローしてくれたこと。 約束をたくさんしてくれたこと。
「好きだよ」なんて、 言わせてごめんね。 あんまり申し訳なさそうにするから、意地悪してみた。 でもありがとう。
いつもの強がりだなんて思わないでね。 あたしは本当に、怒っても悲しんでもいないから。 悲しむ要素なんて、ひとかけらもなかったの。 あなたと過ごす時間は好きだけど、 テニス馬鹿のあなたも、好き。
最近寺島がハマっている占いの本によると、 そんな時間を過ごせるのは今年限りみたいだから。 今は寒いし、大事にしていようかな、と思う。 結局あたしは、 寺島と仲良くやってられれば、何でもいいみたいだし。
でも寺島の性格とか、 あたしとの関係の特徴とか、 本当によく当たってて、すごく笑えた。 未来のことは、どうなんだろうな。 楽しみ。
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