「あたし彼女じゃない」 って、何度茶原に言っても、信じてくれなかった。
「決別宣言したの」
「もたないよ」
言い返せなくて茶原を睨む。 過去を見られればそれまで。
寺島と話をしたことを話そうとしたら、 何故か、
「あぁ、俺を普通の男として見れってやろ?」
と知っていた。 この日記からなのか、藤原からなのか、わからない。
何かにつけ、寺島の奥さん扱いする茶原に、 「あたし彼女ですらないのに」 って文句を言うと、 「彼女なのに愛されない人だっているんだから」 と言い返される。
そう言われてしまうと、あたしは弱い。 『彼氏・彼女』って何だとか考えさせられてしまう。
別にそれを愛されてる証拠にしたいわけでもないのだ。 確かに、証拠ではない場合もあるのだから。 『付き合ってるから』 だから何なんだ。 結婚を前提にでもあるまいに。
付き合っているのだからと、 いろいろなんやかんやと義務を押し付けそうな自分が嫌だ。 「あたしは彼女なのに」 とか言いたくないし、 「あなたは彼氏なのに」 とも言いたくない。 だから何だ?って、このあたし自身が思うのに、 そのへんの少女漫画で育ってしまった妙な義務感が嫌だ。
じゃああたしは果たして、寺島に愛されていたのか? 「愛されている」と感じられるのなら、 『彼氏・彼女』じゃなくてもいいと茶原は言うのだろう。
けれど、「抱ける」=「愛してる」なんていつの公式だろう? 男は愛していなくても抱けるのが今の常識。
愛しているなら、抱きしめるぐらい簡単でしょう?
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