なんだか今は、 寺島の中のあたしがどこにいるのか探すのが、とても面倒。 それより、 竜崎君の中でどれくらいなのかが気になる。 どちらも大した場所ではないのだろうけど。
今日は、 「誠実な態度」 がどんなものか、わからない。
また「好きです」とか言ってあたしのご機嫌をとる寺島に、 それは不誠実だと心の中で思ったけど、 断らなかったあたしも不誠実なんじゃなかろうか。
嘘だと知りつつ、騙されるのはとても気持ちがいい。 全ては今夜限り。
溺れる瞬間がたまらない。 感情のないキスだってもう出来る。
次の日には、何も変わらないあたしがいる。 バイト先で、バーテンダーの立川さんに懐くあたし。 坂田君と笑うあたし。 竜崎君にメールを送ろうとしても送れない、あたし。 いつのまにこんな風になったのかな。
こうじゃないと、あたしはきっと生きていけないんだろう。 それは、寺島を愛している証拠。 そう思うと何だかホッとするなんて、とても変だけど。
あなたが笑えるなら、それでいいんだもの。
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