2004年09月13日(月) |
さよならをするために |
昨日仕事が終わってから、 今まで何をしていたのか、ぼんやりしている。 眠って眠って。 合間に、寺島のメール着信音だけが鳴っている。
やっと、マリコに返信メールを書いて、 待たせた理由をちゃんと、 でも笑えるように送った。
なのに、比較的早く返って来たマリコからのメールには、 ゴスペラーズの『Full of Love』、(←Click) まるまる1曲分の歌詞が書いてあった。 また泣かされた。 ありがとう。
もう、思い出して泣くことはない。 抱き締めてくれる寺島を失うことには、 ちょっとだけ、慣れているのかもしれない。 それでも、 あたしの世界から寺島がいなくなるのはやっぱり悲しいから、 そこまでなくて、よかった、って思ったりする。
最後の時間にさよならをするために。書こうと思う。
抱き締めて、と言われることが嫌だった、と言われたから。 もうそうやって甘えることが出来ないんだな、と思って。 最後にわがまま言ってやろうと思って。 「抱き締めてー」って言ってみた。
けど、寺島の表情は、信じられないって顔で。 あたしは断念した。 「じゃぁ、最後にちょっとだけ、くっついていい?」 と聞くと、渋々、頷いてくれた。
腕を背中に回して、頬を胸にくっつけた。 すると寺島が、左腕をあたしの体に回してくれた。 あたしは全てを預けて、 最後であろう、寺島の体を感じた。 最後であろう、寺島の体温を。 最後であろう、寺島の鼓動を。
涙が零れるときの唇の震えを、初めて感じた。 無意識に、寺島の服を握る手に力が入った。
「ごめんなさい。
近くにいたかったの。いつでも」
言えたのは、それだけ。 回された左腕に、 同情しかないことが悲しくて。
例え両手で強く抱き締められても、あたしは苦しかったはずだから。 例え違っていても、そう思わせていてね。
寺島が、肩にかかっていたタオルで、あたしの涙を拭いて。 懐かしいなぁって思いながら、 もうこの人の前では泣かないと決めた。
「別れる」ときはいつも言ってた、「さよなら」。 でも別に付き合ってたわけじゃないんだから、言わなかった。 そう思うと、 自分が何で泣いてるのか、わからなくなって。 「またね」と笑って、 音を立てないように、寺島の家を出た。
走って、部屋へ帰った。
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