涙はしばらく続いたけれど、 ふと、 何で泣いてるんだろう?って思うことがあった。
だって別にあたし達は。付き合ってたわけじゃなくて。 何にも。約束もしてなかったし。 ただあたしが勝手に。 いろんなこと勘違いしてたんだと思う。 期待からの勘違い。 馬鹿だな。
もしかしたら、 あたしは寺島を利用してたのかもしれんと思った。 誰でもよかったのかもしれない。 温かい腕で、抱き締めてくれるなら。 抱いてくれるなら。 嘘でも、優しくしてくれるなら。
更にもしかしたら、 寺島が、そう感じていたのかもしれない。
違うと言い切れる。 確かに違う。 けれど。 寺島の気持ちを考えなかった部分は、否定できない。
茶原から指摘されてから、頑張ったつもりだった。 でも確信はない。 いつも推測。 あたしのそれはしばしば、茶原にひっくり返される。 要するにあたしは、考えが浅いのだ。 だからきっと簡単なことさえ。 見落としてることもあるんだと思う。
そんなんじゃやっぱりダメだった。 ごめんね、茶原。 いつもあたしを、救ってくれたのに。
竜崎君に言われたことがある。 「あなたはきっと、寺島のことを一生忘れないよ」
そうだね、多分忘れない。 初めて愛した人だから。 愛してくれた人だから。 抱いてくれた人だから。 あんなにも強く、抱き締めてくれた人だから。 涙をいつも、拭いてくれた人だから。
息が詰まる。 涙が零れる。 愛してる。
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