under one umbrella

2004年09月01日(水) そうか。

「ケリはつけた」
と、寺島は言った。
あたしを抱いた後、
帰り際、玄関先で。


あの日あたしを押し倒し、嫌われることで。
ケリをつけようとしたのだと言った。
そして、
ついたと。



だから、
「今引き止めたくもないし、
嫉妬とか、嫉妬させようとか、そういうことも思わない」
と、言った。


割り切れたということ。
あたしを完全に、体だけの関係として。



その日あたしを誘ったときの、甘い目を思い出していた。
抱き締める腕も覚えていた。
見つめられて途惑ったこと。
相変わらず、胸の中は暖かかったこと。
信じちゃいけないのを知っていながら、
信じずにはいられなかったこと。


思い出しながら、けれどさっぱりした頭で、受け止めた。
そうか。
それならあたしも、ケリをつけなければいけないね。



もう2度と、あなたを求めてはいけないということだね。

「君が求めるものは、あげられない。」

そうはっきり、あなたも言った。




うん。
けれど、あなたがいつかまた私の体を求めてくることも知ってるから。
そのときちゃんと応えられるように、
整理をつけておくね。
悲しくならないように。泣きたくならないように。
応えたいと思う心だけ、残しておくから。


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愛していることを、思い出してしまうから。



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