ぞくりとした。寺島は、笑ったままだったから。笑ったままで、「泣け」とあたしに言った。「嫌だ」と答えた。手が胸に伸びた。抗った。あたしの手は押さえつけられた。強い力に、久しぶりに、この人が男であると感じた。力で、女が男に敵うわけない。知識で、そう思った。けど抵抗することが、この人の望むことだろうと思った。だから出来るだけ、抵抗した。その抵抗を全て受け流しながら、寺島は、「嫌いになれ」とあたしに言った。瞬間、寺島がこんなことをしている理由が、わかった。↑VOTE.