父が借りてきてあたしに録音させた、 浜崎あゆみのアルバムを聴いて、泣いた。
車の窓を見ていたあの高校生は、 あたしの涙を見ただろうか。
ちょっと話はずれるけれど、 今日、家の庭で飛び回るアゲハ蝶を見た。 それはとても見事なアゲハで、視線を奪われた。 気がついたとき、 売れるアーティストは、こういう瞬間を大事にするのだろうと思った。 そこから全てが始まるのだろう。 想像も、思想も。
あなたから名前を呼ばれるのが、好きだった。 その記憶が、あたしを縛るのかもしれない。 あの声が、引き止めるのかもしれない。 呼ばれなくなって、もう、大分経つのに。
あなたの口から出るあたしの名前は、美しかった。 あたし以上に、光っていた。 美しさに、今でも涙が出るの。 思い出したら、涙が出るの。
あなたに抱き締められているのはあたしだと、確認したかった。 だから呼んでとねだった。 あなたに抱き締められているときは、いつでも。 夢心地だった。
今あなたに抱き締められたら。 あたしはきっと壊れるよ。 今日もそう夢見ながら、眠ってみる。
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