under one umbrella

2004年08月15日(日) 5年


5年ぶり、か。



5年前に東京へ行った小田が、また今年もやってきた。
登録してない番号からかかってきて、
何度もかかってくるから、恐る恐るかけ直すと、
懐かしい声がした。
メールも何も、してなかったから。

それから2日後の今日、やっと会える時間が出来た。
5年ぶりの小田は、ちょっと丸くなって、でも逞しかった。


朝早くの商店街のベンチだった。
荷物番にとあたしを残して朝食を買いに行って、
帰って来た小田が持っていた袋の中には、
ジュースが2つ。
既にコーヒーの缶を持っていたあたしは笑って、
小田も笑いながら文句を言った。

そんなさりげない優しさは、中学の頃と変わらない。
そこが、好きだった。



ジュースをちょっとずつ飲みながら、
身辺の話や、同級生の噂話や、
中学の先生の話をした。
緊張していたのか、何となくまともに小田を見れなくて。
小田は何度も、あたしを見て話してくれたのに。
少し、後悔。



小田は今日帰る予定で、
一緒にいれたのは45分くらいだった。
曖昧に来年の約束をして、バス停でさよならをした。


1人で歩いて帰りながら、ジュースのパックを見つめても、
そこには懐かしさしかなくて。
5年経ったのだと思った。



いつの間に、あなたへの想いが消えたんだろう。
あんなにあんなに、好きだったのに。
あなたが旅立つときは、泣いたのに。
第2ボタンは、宝物だったのに。


じゃあいつか、
今寺島を愛している気持ちも消えるのかな。
懐かしさに涙することがあるのかな。


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