under one umbrella

2004年06月24日(木) 幸子。#4

今日、今井から聞いた。
今井が、あたしと寺島の関係を幸子に話したとき、
幸子はキレたんだって。
それは、幸子が地元に帰ってくる、少し前のことらしい。


やっぱりなぁ、と思いつつも寂しかったり、
あたしの前では、キレてる様子はなかったのに、と思ったり、
でもそれは、
前川のことを一切言わなかった幸子なんだなぁと思ったり。




今日は雨だったから、家に寺島が来てくれた。
あたしより早く帰って来ていたから、迎えにも来てくれた。


家への道を歩きながら、たくさん話した。
部屋で、たくさんのキスをした。
寺島に電話がかかってきて、それが長くて、
あたしがふてくされると、寺島は慌てて頭を撫でてくれた。
手を握っていてくれた。
会話に出てきた女の子の名前を尋ねると、ちゃんと説明してくれた。

抱いてくれた。
抱き締めてくれた。
「好き」って言ったら、キスしてくれた。
たくさん、甘えさせてくれた。
甘えてもくれた。

帰り道、手をつないでいてくれた。
次の約束も、してくれた。



ごめんね、幸子。
例え、あたしを「彼女」にしてくれなくても。
こんなにも喜びを与えてくれる人に、
今、これ以上のことを要求するなんて出来ない。
ましてや、この人にはあたし以外の女はいない。

そして、夕べの電話で寺島が言ってくれた、
「好きだ」って言葉も、忘れられない。


差別されていたこと。
あだ名をつけられたこと。
そのことも勿論、傷になって残っている。
だけど、だからこそ、
あたしを好きだと言ってくれる寺島が大事だ。
それは今だけのことと言うなら、
続くように努力をしたいと思う。
寺島が好きだから。


「付き合う意味がわからない」なんて、
ただ逃げているだけだと思うかもしれない。
寺島と別れた帰り道、
間違っているのかもしれない、と思った。
だけど、
じゃあ「付き合っている」ならば正しい道?
あなたは許してくれる?
祝福してくれる?
そうでもないんでしょう。


何度となく同じことを繰り返してきたあたし達。
だけどその度に、傷は広がって。
今はお互いに、その道を選べぬほどに。
繰り返すことが、怖くて。


それでも、一緒にいたい。
だから。




ごめんなさい、幸子。
寺島を捨ててあなたを選ぶなんて、出来ない。
今のあたし達には、これしかない。

でもあたしは努力をする。
決して、これで満足はしない。
ちゃんと歩いてゆくから。
見てて欲しい。


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