under one umbrella

2004年06月23日(水) 幸子。#3


そういう意味では。
私はきっと、男の人に恵まれていたんだろう。
小田も、寺島も。
私の気持ちをちゃんと受け止めてくれたうえで、フッてくれた。

「好き」という気持ちを、
外見という理由で真っ向から否定されたことは、なかった。



だからむしろ、この外見のままでは寺島に申し訳なくて、
茶原にダイエットを勧められたときも、不思議には思わなかった。
寺島が外見で判断する人だとは思っていないけれど、
少しでも、寺島の「可愛い」に近づきたいと思う。

そんな私に、幸子は、
「外見で態度が変わるような人はダメだよ」
と言う。




幸子の頭にはきっと、
前川や、差別をした男子のことが思い浮かぶのだろうと思う。
そうじゃなくても、
外見で判断する男の人というのは、私だって嫌だ。

要するに幸子は、
「外見も含めた、ありのままの自分」
を好きになってくれる人がいいのだと言っているのだと思う。


だけど、
ぶっちゃけた話、今の外見を好きになってくれる誰かがいる、
と思っているところがわからない。
それは結局、自分を可愛いと思っているんじゃないかと思う。
思っていないのなら、努力をするはずだ。



中身が外見をつくる。
そんな風にも思う。
だから、努力をしたい。

寺島に甘えたままは嫌なのだ。
本当の意味で「可愛い」と思われたいと思う。



でもそんなにまで寺島を好きだということを、どう伝えればいいのだろう?
好きなことはわかってる、と言われればそれまでで。
今まで散々勝手を言ってきた寺島をどうして、と聞かれることもわかっていて。
それは、いつも繰り返していたことだったけれど。
もうここまでくると、意味が無い応酬に思えた。


経験や、育ってきた環境や、友達が違うから。
考え方が違うのは、どうしようもないことで。
他人だから、その更に他人を想う気持ちが判るわけもなくて。


私と幸子はこれまでだな、と思った。
好きな人に好きと言ってもらえるように、と思う私と、
ありのままの自分を好きになってもらおうとする幸子。
どっちもどっちだと思うから。


寺島との関係を聞いて、幸子は、
私との間に壁が出来た、と言った。
寺島への気持ちは、どうしても判ってもらえないらしい。
判れ、というんじゃなく、
好きなんだねー、と、認めてもらえたら、と思っていたんだけれど。




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親友である資格などない。
所詮は、そんな女だ。



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