under one umbrella

2004年06月20日(日) 幸子。#1

幸子の話を、少し。



幸子の大学が開学記念日だとかで3連休になるので、
幸子が地元に帰ってきた。
うちに遊びに来た幸子に、日記を見せてと言われて、
寺島のことを言えるわけが無いので嫌だと言ったら、
「私に言えないことを書いているんでしょう」
とずばり言われ、顔に出てしまった。


結局見せはしなかったものの、
寺島のことを、大体言わされた。
案の定、いい顔はしなかった。


それは構わない。
幸子に限らず、誰でも、こんな関係にいい顔はしないだろう。
どんなに主張しても、所詮はセフレだ。
少なからず、私と寺島の間でしか理解出来ない部分がある。
私と寺島のやり取りを、一言一句話すわけにはいかないのだから。


けれど、

「私はもう、何も言わない。
あんたは結局、茶原の意見を採るから」

というセリフに、固まってしまった。




確かに。
彼女はずっと、私に、寺島と別れろと言っていた。
もっと自分を大事にしてくれと言っていた。
付き合ってもいないのに、そういうことをしてはいけないとも言っていた。

彼女の意見を、シカトしてきたわけじゃない。
元々が、一般的な意見であるから。
私の理性だって同じ意見だし、理解は十分に出来る。


ただ、「理性」と逆の言葉として使うならば、
「本能」が寺島を選んだという話だ。

「彼女」という称号も、周囲の祝福も、周囲の理解も、
私は要らなかった。
寺島といられればよかった。
いつでも、私は。

寺島が好きだ。
理由なんか無い。
後付の理由なら、いくらでも喋れるけれど。



それが結果的に、茶原の意見を採るカタチになっているだけだ。
茶原は、私達を応援してくれているから。
同じ方向性なわけだ。

幸子と茶原をランク付けしているわけじゃない。
私の頭の中には、ちゃんと2つの意見が存在している。
それはどちらも、本当の気持ちだけれど、
選ぶなら、私は寺島への気持ちを選ぶのだ。
だから、幸子のセリフがショックだった。


すれ違ってしまっている。
はっきり、そう感じた。


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