#1 #2 #3 #4の続きです。
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電話に出ると、寺島は、 弁解を始めた。 そんなわけじゃないと、必死だった。
ちょっと驚いて、ちょっと嬉しくて、 さっきのことの方がショックだったというのもあったけれど、 そんなに責める気にはならなかった。 話は自然と、今日の試合の話に移っていった。
寺島に言うつもりはなかった。 ややこしくなると思ったから。 けれど、話が盛り上がるにつれて、 寂しさも比例して、涙がこみあげて、 結局は、隠し切れなかった。
寺島は、どちらが悪いとも言わなかった。 ただ、 「4人で来てたら家に入れたのに」 と言った。 また、悲しくなった。 皆で会えるのは、もうずっと先なのに。
話題は変わって、寺島の女の子の好みの話になった。 寺島はずっと、すごく可愛い女の子がいいと言っていた。 そうじゃなきゃ恋愛する気が起きないと。 もうこの話は何度も聞いていたので、傷つきもしなかった。
「だけど、それでも今こうしてるっていうのは…お前が、
特別な人だからなんだろうな」
また、寺島の弁解になって。 やっと、心から笑えた。
「俺、お前が初めての相手でよかったって思ってるよ」
「嘘」
「嘘じゃないよ」
「信じるよ?」
「信じていいよ」
ありがとね。
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