under one umbrella

2004年05月22日(土) 「じゃぁ」

駅から駐輪場へ向かっているとき、
寺島から電話がかかってきた。

いつもそうだから責めることはできないけれど、
「今忙しい?」の言葉もなく寺島は話を始めた。

しかし「いつも」というのは、深夜11時を過ぎた頃の話。
忙しいことなんてほとんどないとわかっているからの話。
その日は夜の8時くらいだった。


話はいつものように他愛無くて、世間話だった。
聞くのは楽しいから、別に構わなかった。
片手で、停めていた自転車を動かすのが難しかったけれど。



バイトの話になった。
家庭教師に登録すると、寺島は話した。
以前、中学の先生から、
家庭教師の時給は2000円くらいだと聞いたことがあった。
いいね〜、と羨ましがると、
「お前のとこの倍以上だよな〜♪」
と、得意げに言われた。


私は、結婚式場で土日のバイトをしている。
時給は700円で、
頭を使わない代わりキツイし、
いくら使わないと言っても、効率的な動きが要求される。
サービス業だから、ちょっとした動作にもうるさい。
立ちっぱなしで9時間とか働くから、
最初の頃はパンプスに慣れなくて、小指が膿んだりしていた。

ちょうどその日、私は、
バイトをやめようかどうか悩んでいた。
家から遠かったり、
上司から「向いてないんじゃないか」と遠まわしに言われたり、
その遠まわし加減が苛ついたりしていたのだった。
だから、寺島の発言に、いつも以上に反応した。
けれど、寺島は気づかず、喋り続ける。


「週一のカテキョでお前らの倍以上稼いでやるよ〜♪」
そのハイテンションに、何より苛々した。
「…わかったから」
「あ、怒ってる?」
「…怒ってない」
早く切りたかった。
自転車も重たかった。
早く帰りたかった。
「怒ってる…」
「…怒ってないったら」
本気で怒らせてるなんて気づいていないくせに、そんなことを言わないで。
「じゃ、その自慢話したかっただけだから…」
それを認めないで。
せめて違うと言って。
「じゃぁ」
と切ろうとすると、まだ何か言っているのが聞こえて、
携帯を耳に当てると、
「そんなに怒るなよ〜…」
とかなんとか言っているのが聞こえた。


私の足の痛みを知らないくせに、怒るなと言うの?
今私がどこにいるか、何をしているのかも聞かずに、
自分の話ばかりして、
しかもただの自慢話だと判っていると、堂々と。

あなたは言ったのに。つい夕べの電話で。
「人の愚痴と自慢話程つまらないものはない」と。


「怒らない人がいる?」
そう言い捨てて、電話を切った。
仕事をバカにされたことが悔しくて、涙が出た。
何かが苦しかった。
何なのかわからなかった。


謝れば消えるのかと、何度もメールを打とうとした。
けれど打たなかった。
どちらが悪いかなんて、きっと寺島もわかっているはずで。
寺島を信じようと思った。



↑VOTE.



苦しかったのは、そのせいだった。



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メールのレス、遅れていてごめんなさい。
もう少し、待っていただけると嬉しいです。


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