酒に弱い寺島は、すぐに酔う。 顔が赤い。 手をひらひらと振る。 あたしを呼んでいるということに、すぐ気がついた。 「いかないよ酔っぱらい」
トイレに行って帰ってきたら、 ドアの前にいた寺島に抱きしめられた。 長い長い、キスをされた。 酒の匂いがした。 「陽ちゃん酔ってる」 無理矢理唇を離して、言った。 寺島は妙な真顔で、自嘲気味に言った。 「久しぶりにそう呼ばれたよ」
「彼氏、できたの?」 少し距離をとって話す。 「いいや?」 「どっちでも、俺何してんだって感じだな」 「…」 寺島は、まだ真顔だった。 真顔のまま、あたしの腕をひっぱって抱き寄せた。 「キスしたいんだよ」 そう言って、あたしの顎をあげてキスをした。
だから、戻ってきたんだね。 あんなに消したがった、あたしの元に。
カッコ悪いって、わかってる? わかってるなら、いいんだけど。
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