結局何だったのか、自分なりに少し考えてみたけど、 面倒だったし、わからなかったから、やめた。
あの人は今、自分の未来のために走ってる。 それが最優先なことは、あたしだってわかる。 だから、責めるのはもうやめよう。 また一人で空回っていただけじゃないか。 そう考えたら、楽になれた。
一週間後の土曜日、心当たりのないチャイムが鳴って、 宮島達を期待したけれど、寺島だった。 携帯を買ったと言って、何人かのアドレスを聞かれた。 いつかあたしが嫉妬した、あの娘の名前もあった。 少し身構えて、話をしていた。 それは期待していたわけでは決してなかった。
でも、何もなかった。 「これから塾」 と言って、普通に帰っていった。 遠ざかる背中を見送って、玄関を閉めて、 ああ、やっと終わったんだと思った。 泥沼は抜け出した。
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