他愛もない世間話が続く。 楽しい。だけど何か変。 寺島のことを考えてから。
また話題が、あたし達のところに戻る。 「でもさ…あれはありえないよな」 「あれって?」 「『俺のこと好きでしょ?』ってやつ」 「ああ…」 9月のいつだったかに、寺島があたしに言った言葉だった。 あたしが、胸に伸びる寺島の手を制したときに。 振った彼女に言うなんて、俺は確信犯だって言っちゃったようなモノ。 あたしは呆然として、何も言えなかった。 圭ちゃんや宮島は怒ってくれた。 「ちょっと、自信過剰だよな」 「うん…今に始まったことじゃないけど。 拒否してなかったあたしも悪いんだし」 「そういう問題でもない気がするけどね…。 寺島のそんな姿勢がおかしいんだろ」 「受験だから…ちょっと麻痺してんのかも、そういうことに関して。 今改めろったって無理でしょ」 「そりゃそうだな…」 「それ待っとくのも辛いし…」 「いや、待っとけ」 「無駄」 「戻るから」 「戻んない!」 結局オチはここにくる。 今度は「戻る」という言葉が響いた。 寺島との最後の会話がよぎる。
…まずい。 この期に及んでまであたしは、戻りたいなんて思うんだろうか。 あんなにも醜くなった自分を知っているのに。 最後の会話なんて思い出したら。 きっとまた、壊れてしまうのに。
あの日。 あたしは、明るくこの場を終わらせようと、笑って言った。 「今度ウチに来るときは、告白しに来てよ」 あの人はためらうことなく、 「ああ。花束持って、行くよ」 と、言った。 最後のジョークだと、わかっていた。
…本当だろうか? わかっていなかったから、考えないようにしていただけじゃないのか。
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アクセス制限。 よく考えてみれば、有害な言葉があるからかかるのだと気が付く。 この日記の8月の目次にもかかる。 多分、「〇薬?いいえ、媚薬」かと…。
あー、不便。
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