刹那の沈黙を破ったのは、寺島。
「…まだ、言うことあるでしょ?」 「!」 「…」 「…もう、来ないで」 「わかった」 「合格報告、楽しみにしてる」 「うん」
こんなに簡単だったのにね。 孤独感も、ちっとも変わらないのにね。 あたしは何を怖がっていたんだろう。 いつの間にかあたしの世界は元通り、 寺島がいないという寂しさにくすんだ色を、していた。
でも最後まで、あなたが背を押してくれた。 直前の瞬間まで怖がっていたあたしを、見抜いてくれた。 …ありがとう。 そしてさようなら。 「恋人」のあなた。 これからは「友達」だよ。 本当に。
悲しくなんかない。 あたしはもうとうの昔に、寺島を失っていた。 とうの昔に、独りだった。 何も変わらない。 見上げる空の、星の輝きも変わらないよ。 あたしがいくらキレイだ言っても、あなたはいつもどうでもよさげに頷いていたけど。 決ってその後に、 「隣でお前が輝いてるから、見えないよ」 なんて言ってくれてたっけね。 懐かしくて、愛おしくて、 久しぶりに、気持ちが溶けるような涙を流した。
いつかあなたが、自由になったなら。 自然と星がキレイだと思えるくらい、心に余裕が持てたなら。 皆で星を見ながら、お酒を飲もうね。 楽しみにしてる。
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