ピン、ポーン、と。 音が響く度に、私は。 敷居の向こうにたたずむ寺島を期待する。
でもその日は、開ける前から声がしていた。 どこかで見たようなシルエットが揺れていた。 「久しぶり!」 竜崎君の後ろで、宮島が手を振ってくれた。 目の前には、チャイムを鳴らした市丸が立っていた。
いつも突然やってくる、男友達3人(1人は常連だが)。 小学校から一緒の人達。 本当なら、寺島も含まれているグループだけど。 受験のおかげで、最近はもっぱら4人で遊んでいる。 それが実は、2度目のさよならの原因だったことは、初公開かもしれない。 今はちょっと、遠い記憶。
4人になると、いつでも。 私と宮島、市丸と竜崎君に分かれてしまう。 本当なら、私と竜崎君が逆のはずなのに、 不思議なもので、それで会話が進んでいく。 「カラオケ行こう!」 珍しく宮島が、3人を引っ張った。 寺島が果たしていた、その役目。
自転車を持たない私に、いつも速度を合わせてくれる3人。 けれど、その速度で進んだら遅くなるという理由で、 宮島が自転車を貸してくれた。 そして自分は走るって。 まだ体力は落ちてないって。
…おっ。 久しぶりだな、この感覚。 自転車に乗る感覚。 誰かにときめく、感覚。
|