under one umbrella

2003年10月13日(月) 寺島の罪、私の罪。

「ねぇ、この間は、ごめん」
次の火曜日。
寺島の腕のなかで、私は謝った。

「ん?何が?」
「電話、しちゃったでしょ」
「ああ。いいよ、別。」
「でも…ごめんね、こんな時期に」
「いいよ。だって『親友』でしょ」
「…」
その言葉に途惑った私を、寺島は見抜いただろうか。
わからない。
多分、知らない。

「親友」という言葉に逃げているんじゃないかと。
私達の関係は、「元恋人」のそれでしかないと。
誰かが繰り返す私の頭に、寺島の言葉は重たく響いた。
私、本当に「親友」やれてる?
あなたの将来のために、今のあなたを支えてあげられている?



「俺ね。何でも一人でやろうとしちゃうんだ。
それも、他の人には出来ないこと。
人に頼るのも、逃げるのも嫌なんだ」
「でも陽ちゃん…人間一人っきりで、
一生過ごしていけるものじゃないわ」
「わかってるよ。そうとも思う。
その矛盾で、今俺は苦しい。
矛盾に気づいているからこそ、苦しい」

そんな風に考えることの出来る人が。
私との関係の矛盾に気づかない。
いいえ、気づかないふりをしている。

受験さえなければ、この人はここまでおかしくならなかったのかもしれないし、
ないのになったとしたら、私は今より傷ついて、
その分強くなることが出来たのかもしれない。

こんな風に考える私も、寺島と同じくらい罪深いのだろう。



 < 過去  INDEX  未来 >


まりあ [MAIL] [BBS]
thanks for WhiteGarden


My追加